リートブルク城が怪物どもに占領された。さらに黒竜タロクが城を完全に破壊するために動き始めたという...一刻も早く城を解放しなければ!
(この記事はボードゲーム『アンドールの伝説』の系列の『リートブルク攻城戦』を2人で遊んだ時の様子を、ひさしぶりに小説風に記録しています。『リートブルク攻城戦』の概要については【開封の儀】の記事をご覧くださいませ〜)
■目次
■勇者立つ
私は戦士ソーン。
アンドールの戦士であり、清らかなる水――井戸――を愛する戦士だ。
あの水はいつ何時も美しく、私だけでなく、人々に活力を与える。
(『アンドールの伝説』の井戸水は、各キャラの意志力を上げる効果が。戦士ソーンだけ他のキャラより効果が高いの。詳しくは過去記事をご覧くださいませ)
今までの幾多の戦いを乗り越えてきた私は、このリートブルク城解放の戦いも乗り越えられると信じている! 準備は充分だ! 相棒のアンドールの射手チャダと共に門楼の前に立った。
(『リートブルク攻城戦』では、勇者を1人選択し、各キャラはカード3枚を持ってこれらのカードをプレイすることでアクションを実行していくの。各カードに書かれたアイコンはアクションと得られる数値などを示しているわ)
リートブルク城の重要箇所
我らはリートブルク城を見上げた。
重要箇所は6か所。怪物どもの声が聞こえ、あのリートブルク城が怪物どもに占拠されたことを改めて痛感した。私は自分の汚れたブーツとまとわりつく砂埃を見つめた。
「ソーン...やるの。私たちがやるしかないのよ」彼女の澄んだ瞳が意志を持って私を見つめてきた。そうだ。ここで落ち込んでいる場合ではないのだ。頷く私に彼女は城を指さして続けた。
「念のため確認するわ。あちらの左上に見えるのが王座の間、その下がヴルフロンの工房...」
彼女はひとつひとつ指さしながら、重要箇所を私に伝えた。
- 王座の間
- ヴルフロンの工房
- 物見塔
- ブランドゥルの塔
- 地下牢
- 門楼
もちろんわかっていることではあったが、その場所をどう呼称しているかは人それぞれだ。こうして呼称を統一していおくことは、連携や伝令からの報告を共有するのに役立つだろう。
そういえば予言者は言っていた。
「勇者、四つの試練を乗り越えし時、リートブルクの空晴れし」
6つの重要箇所に4つの試練。なにか関係あるのかもしれない。
我らはここに到着するまでに、城がどんな状況なのかを伝令から聞いていた。
王座の間に怪物がいる、ヴルフロンの工房に2つの影、物見塔の周りに何者かがいる、門楼の歩哨に怪物が2体等々...この戦いは厳しいものになりそうだ。
(初期セットアップで4枚の物語カードを捲り、指示に従ってそれぞれの場所に遭遇カードを追加するの。難易度を下げるため、今回のプレイでは赤地の部分は無視しているわ)
私はこの状況を踏まえ、チャダと充分に話し合い行動することにした。
協力型ゲームの中には、話し合い禁止というゲームもあるけど、この『リートブルク攻城戦』では話し合いOK)
■戦闘が始まった
「私が先に行くわ!」
まずチャダが動いた。
彼女は矢筒から矢取り出し、門楼から王座の間へと移動していった。
(手番にできることは、手札のカード1枚をプレイし描かれたいずれかのアクションを実行する、もしくは休息して使ったカードを手札に回収する。さらに場の状況によっていくつかのフリーアクションができる。またこのチャダのように各キャラ固有の特殊アクションもあったりする。)
門楼にいた私は作戦通りチャダの元に移動する。
我らが散々アンドールの怪物たちを倒してきた連携攻撃をするのだ!
「ソーン!私が仕掛けるから同時に切り込んで!」
いつもどおりのチャダからの連携攻撃の指示に、うなずく私。
チャダの澄んだ声は、まるであの清らかな水のよう――おっと、彼女が矢をつがえた!切り込むっ!
我らの連携攻撃の前に敵はあっけなく倒れた。
攻撃する際、同じ場所にいるキャラクターに連携攻撃を申し出れる。応じたキャラは自分の手札から1枚攻撃アイコンがあるカードを出す。それぞれの攻撃値の合計が敵の戦闘値以上なら倒せる)
「いいわソーン! その調子よ!」
私は剣を振って怪物の血を払いながら、チャダの方を少し見て頷いた。
本当の嬉しさの十分の一も表現していないが戦士があまりヘラヘラと笑ってはいけないような気がした。
■敵だけが潜んでいるとは限らない
今思えば、チャダに褒められたことで、少し本気をだしてみたかったのかもしれない。その後私は王座の間に潜む敵を一刀の元に切り伏せた!
(伏せられたカードを除去できるアクションを使った)
「ソーン! 誰かいたの!?」
「あぁ、おそらく敵だ。暗闇の中に潜んでいたので、一刀の元に――」
チャダの顔に一瞬戸惑いの色が見えた。
「そうなのね。ソーン。敵を倒すことは大事よ。確かに私たちには時間が無い。きっと今も正しい判断だったのかもしれない。でも、このリートブルク城には仲間もまだ生き残っていると聞くわ。余裕があるときには相手を確認してから倒しましょう」
そうだった...この城にはまだ協力者や宝を持つ者もいるという。焦ってしまった。いや、正直いいところを見せようとしてのかもしれない。何がアンドールの戦士だ。私は…ダメだ。もっと冷静にならなければ......あぁ井戸水が飲みたい
「ソーン、王座の間に敵は、とりあえず一掃したようだわ」
落ち込む私を気遣ってくれたのか、彼女はとりあわけ明るい声を出した。彼女の優しさに感謝せね――
「チャダ! 誰かいるぞ!」
一掃された王座の間から男が出てきた。私は見覚えがあった。彼は、湖畔の賞金稼ぎロフスだ。
(重要箇所の遭遇カードを全て除去すると、伏せられた試練カードを表にできる。これらの試練カード4枚の示された条件を達成すればプレイヤーの勝利となる。)
彼は金にうるさい奴だが敵ではない。
この王座の間で、ひと稼ぎしたかったようだが、王座の間の怪物が私たちによって倒されてしまった今、彼が得るものは少ないだろう。
■休息
ここで私は一度、休息をすることにした。
休息は大事だ。力が戻ってくる。ここに井戸があればこれ以上言うことはないのだが。
(休息アクションをすることでプレイした手札が全て返ってくる。しかし…)
休息を終え立ち上がろうとした私に伝令がやってきた。
「申し上げます!」
「怪物が物見塔から辺りを見回しております!」
(このように物語カードを引く必要が。たいてい遭遇カードが追加される。物語カードをこれ以上引けないときプレイヤーの敗北となるため、休息は頻発できない。)
あぁ…こうやって我ら努力を無に帰すように、怪物たちは次々とやってくるのだ。果たして私はリートブルク城を解放できるのだろうか…そんなことを考えていると…少しみぞおちのあたりに不快感を感じる...
「あぁ…井戸水が...飲みたい...」
ふと言葉が出てしまった。よし!そうだ!井戸をさがそう!
おお!井戸だ! 私が愛する井戸だ!
私は夢中になって清らかな水を飲んだ。やって...やってやる!怪物たちがなんだ!胃の不快感がなんだ!
(このトークンは意志力。アンドールの伝説では井戸水を飲むと意志力が得られたので、このアクションは井戸なんだろうなぁと勝手に想像。)
■同盟者
その後もチャダと連絡を取り合いながら、次々と怪物を倒していった。
「なに!? チャダがトロールに苦戦している!? すぐに駆けつけよう!」
物見塔でチャダがトロールを発見したと聞き、駆けつける。
「チャダ! やれるぞ! 連携攻撃だっ!」
チャダの矢が首筋に刺さり、トロールの気が一瞬それた――今だ! 私は袈裟切りに剣を振るう。トロールの巨体が崩れ落ちる。
トロールが倒れると奥から何者かが出てきた。
炎操師リフォルヌス殿!
(敵の中には、倒した後、お金になるカードもあるし、このように同盟者デッキを引けるカードもある)
話を聞くと、どうやらトロールたちに阻まれ、ここから出られなかったらしい。
彼はもちろん助力は惜しまないと言ってくれた。彼の魔法は、重要箇所に潜む者たちを見つけるのに役立つだろう。
(同盟者カードは獲得したプレイヤーの手札となる。使っても急速アクションで回収できる。)
早速彼は魔法を発動してくれた! そして…
「絆の盾」が地下牢にあることを発見したのだ! 昔は魔法の強さを妬んだ時期もあった。
だが様々な経験を経た私は、純粋に魔法を素晴らしいと思えた。魔法が得意なものは魔法に、剣が得意なものは剣に生きればよいのだ!
■意志力の一撃
チャダが地下牢へと進み、絆の盾を手に入れたようだ。
さらに珍しい「林檎栗」も手に入れたらしい。やはり城にはまだ、宝もあるということか。
地下牢の敵を一掃した頃、ちょうど「ブランドゥル親衛隊」がこちらに向かっているとう噂を耳にした。
彼らが来てくれるのなら、城の開放はより現実的になってくる。
かなり重要箇所の敵も減ってきたのではないだろうか。そんなことを考えていると伝令がやってきた。
「王座の間にて、新たにトロールの目撃情報!」
またトロールか。前回はチャダとの連携攻撃て倒したが、彼女は今忙しい。私ひとりで倒せるだろうか。
その時、清く澄んだ水のヴィジョンが浮かんだ。
大丈夫だ。私には井戸がある。そして私は先ほどあの清らかな水を飲んだのだ。行ける。トロールなど私の敵ではない!
私は王座の間へ乗り込む。トロールが巨大なこん棒を振り下ろしてくる。ふっ。生意気にも私の頭を潰そうとしているようだ。だが甘い!
避ける!こん棒の風圧を感じるがそのようなことでこの身体はブレない!
―――Weeeeell
気合を込めた私の一撃で、トロールの身体はバッサリと割られる。
ふふふ。あの清らかな水で強化された私に敵は無いっ!
(意志力トークンを使うと、攻撃力+1)
ちょうどその時、外が賑やかになった。
ブランドゥル親衛隊が到着したのだ。これは朗報だ。リートブルク城解放もあと少しと言ったところか。
■時間との闘い
リートブルク城に来てから、だいぶ時間が経ってしまった。黒竜タロクがやってくる前に城を解放し準備を整えねば!
チャダが向かった見張り塔には、有翼ゴルの親玉が出たようだった。
ゴルが翼をもって飛ぶだけで醜悪だが、その親玉がいたとは、もっと醜悪だ。
だが、この城で倒された有翼ゴルの死体の数々を見て、去って行ったようだ。確実に城は解放へと近づいていた。
だが時間が無いかもしれない。
(物語カードを捲れなくなったら、敗北)
あと少し、あと少しで解放なのだが! そんな時、ヴルフロンの工房の奥に虜囚がいるという情報が入った。
だが虜囚の前には怪物がいるのだ! 奴らを倒さねばならない!
「ソーン! 行きましょう! 見過ごせない!」
チャダと急ぎ向かう。
虜囚の前にいたのは、獰猛なヴァルドラクだった。
低いうなり声をあげ、我らを威嚇してくる。
「ソーン!横によけて!絆の盾を使うわ!」
彼女の絆の盾によって、ヴァルドラクは致命的な一撃を受け、怒り狂って暴れまわった後、息絶えた。チャダは強い。
彼女に声を掛けられここに共に来たのだが、私は…何かの役に立ったのだろうか。まあいいのだ。戦士は…小さいことは気にしない。なにより、虜囚が解放されたことは大きい! 虜囚を解放しお礼を言われている彼女の後ろで、ゆっくりと剣を鞘に納めた。
「ソーン、私たち重要な場所はほとんど解放できたんじゃないかしら?」
振り向いた彼女は笑顔だ。私がいることを思い出してくれたことに少し嬉しい気持ちを感じないわけでもなかったが、私は短くうなずくだけにした。
賞金稼ぎロフスとの交渉、有翼ゴルの王の対処、ブランドゥル親衛隊の到着、虜囚の開放...これらが予言者の言っていた4つの試練だろうか。
ほどなくして、外から歓声が聞こえてきた。ブランドゥル親衛隊たちの声も聞こえているようだ。(4つの試練カードを解決したので勝利となる)
チャダと共に外に出ると、リートブルク城解放を喜ぶ者たちが大勢いた。肩をたたきあう者、泣いている者、笑っている者......。
「チャダ様! ソーン様!!」彼らは私たちを見つけると、駆け寄ってきて感謝や喜びの報告などを思い思いに叫んでいた。とても聞き取れるものではないが、このような彼らを見ることができて良かった。やった。やったのだ。
私たちはリートブルク攻城戦に勝ったのだ!
「ソーン様! 勝ち鬨(かちどき)をお願いいたします」
皆が私に注目する中、剣を高く掲げ、大きく息を吸い込んだ。
Weeeeeell
一同「We...? Weeeeeell」
■あとがき
はい。久しぶりの小説風リプレイ・プレイログ、いかがだったでしょうか〜。ほんのりリクエストをいただいていたので書きたかったのですよね。楽しんでいただけたんだったら良いなぁ〜
それはそうと『リートブルク攻城戦』、元ゲームの『アンドールの伝説』とはシステムは全然違いますが、この話にも出てきた「絆の盾」など、元ゲームに出てきた要素も出てくるのがいいですね。遭遇カードに何が出るかのドキドキ感も楽しめました。
今回は初ゲームということで、物語カードの赤字を無視してプレイしましたが、通常ゲームではより時間ギリギリなプレイになるのではないでしょうか。試練に何が出るかにもよるとは思いますが、全体的に元ゲームより手軽な協力型ボードゲームとなっていると思いました〜。
『アンドールの伝説 リートブルク攻城戦 完全日本語版』は、amazonに売ってまーす。
アークライト アンドールの伝説 リートブルク攻城戦 完全日本語版
そうそう、小説風リプレイ記事については、こちらの記事一覧をご覧くださいませ〜(主にアンドールの伝説の記事が多いです)
小説風リプレイ・プレイログ 関連記事一覧
以上、ボードゲーム『リートブルク攻城戦』の小説風リプレイ・プレイログでした。あきらびこと、“あっきぃらびっと(@akkiiy_rabbit)”がお送りしました
コメント