え〜。ふと、思い出しました。

お祭のくじ引きで2等が当たったときのこと・・・。
あれは、小学校6年生の頃・・・。


「あい、一回300円だよ」
だみ声のおじちゃんが手を出して言った。
僕はずっと迷っていた。
「くじ引き 一回 300円」
当時の僕にしたら、大金だ。

しかし、そこに並べられた豪華な商品の数々・・・。
欲しかったゲーム機本体やゲームソフト。

僕は息を勢いよく吐ききると、300円を差し出した。
祈りを込めて、三角に折られたくじをひく。
手に2枚絡んで来た。

どちらを選ぶかで運命が変わるような気がして、慎重に片方を捨てた。

・・・・・ゆっくりと開いてみる。

2等!!

つれも誰もいない、寂しいお祭めぐりだったので、うれしい気持ちを声にも出さず、おじちゃんにすばやく渡す。

カランコロン カランコロン♪

「おお〜。ぼく。おめでとう!」
微笑むおじちゃん。
きっとこの人はいい人だろう。
心がささやく。

そしておじちゃんが裏で、ゴソゴソと商品を用意している。
ウキウキした心を落ち着かせて、2等の展示を見ると、豪華ボードゲームと書いてある。

ボードゲームかぁ。ドンジャラや人生ゲームがはやってるよなぁ。

心を躍らせて待つ僕。

おじちゃんが微笑んで、大きなボードゲームを差し出してくれた。
その名も
「ロボット大決戦」(たぶん)

箱には、いかにも流行りアニメ(ガンダムなど)を少しパクってますって感じのロボットがたくさん描かれている。
もちろん。おろそかな絵だ。
配色も微妙だ。

「ごめんなぁ。これ、もちにくいけど、袋もなにもないんだよ」

おっちゃん、コレ、むき出しで持って帰れっていうのですね!?

そうは、言わず、
「大丈夫です。ありがとう」
微笑んで受け取る。

真面目ちゃんだった僕は、少しの戸惑いも見せない。
戸惑ったらおじちゃんが悲しむと思ったからだ。

体の大きな小6がむき出しのボードゲームを脇に抱えて、お祭の人ごみの中を歩く姿を想像してほしい。

目立つのだ!
しかも、ボードゲームは誰もが見たことのないようなものなのだ!!
そして、僕は、家までバスで20分ほどかかるのだ!!


僕は、その後はどこにも寄らず、まっすぐに家に帰った。
もちろん、ずっと下を向いて・・・。


いやぁ〜。なつかしい、なつかしい。
うれしいのか恥ずかしいのかわからない複雑な感情を、ここまで深く体験したのは、たしかこの日だったと思います(笑)

みなさんも、くじ引きの商品チェックは忘れずに(^_^;)