「あぁ。あの戦士ソーンだろ? 井戸水が無くちゃ何にもできないらしいぜ。」
「ははは。井戸水飲みながら恍惚としてたらしいしなぁ。英雄がきいてあきれるぜ」
・・・なんという・・・なんということなのだ。
私が、意思がみなぎる井戸水を愛していることは間違いない。
(戦士は井戸水を飲むと通常意志力+3のところ、+5)

だが、あの水がなければ私は──私、戦士ソーン──は、あの兵士たちが言うとおり何もできないのか・・・。
──違う。違うと言いたい。
今この場所から出て行き、私を陰であざ笑う兵士たちに一泡吹かせてやりたい。
しかし私は、堂々と「違う」と言えるだろうか。
これまでに私は、仲間と、そして井戸水...そう。井戸水のおかげで何度かアンドールを救ってきた。
あぁ井戸水。あの澄んだ水は、いつだって私に力を与えてくれた。
井戸水無しで、魔物に、困難に、そして女尊男卑に立ち向かった日があったろうか・・・。
たしかに、私は井戸水に頼りすぎていたのかもしれない。
そんな私に彼らの前に出て行く資格などない。
今しばらくは井戸水のことは考えない・・・そう。考えないことにしよう。
(というわけで、今日はアンドールの伝説3のリプレイ一人称小説風です〜。相変わらずイイ加減ブログですので諸々ご容赦を
)
そう私が決断した頃、アンドールにまたもや暗雲が立ち込めていた。

(伝説3開始時に、どこに敵が出るかなどのカードを5枚引く)
各地に様々な魔物が出没しているようなのだ。
やつらは日に日に、かつ確実に、城を目指してくるだろう。
城の現在の状況から考えて、3体の魔物が進入してしまえば、この城はあっというまに蹂躙されてしまうだろう。
出現した魔物は多数。このままではアンドールは確実に終焉をむかえてしまう。
(今回は3人プレイなので、城に3体目の魔物が進入すると負けになる)
城を蹂躙させるわけにはいかない。
仮に、私が井戸水がないと何もできない戦士だったとしても、私には城を守る責務があるのだ。
さらに私には1つの任務...いや、宿命ともいうべき任務があった。
(伝説3から、それぞれのキャラに任務が与えられます)

ハッルガルド侯爵には世話になったことががある。
だからこそ「彼らの鉱山までルーン石2つを運ぶ」という約束をたがえるわけにはいかないのだ。
こうやって物陰に隠れて兵士たちの噂の続きを聞いている場合ではない。
私が井戸水抜きでも立派な戦士であるかどうか、ここで試してやろう!
さあ、出立だ!
私の元に、共にアンドールを救おうとする仲間からの知らせが入った。
以前、私と共にアンドールを救った狩人のチャダは、すでにアンドールを救うため動き出しているようだ。
農民を連れ、城に向かっているらしい。

城へ向かう途中、井戸に立ち寄ったとか。
あぁ...井戸か...いや。いかん。今は井戸のことは忘れよう。
農民の中には骨のあるやつもいる。
彼らは、城で兵士として活躍するかもしれない。
(農民が城に入ると、モンスター受け入れ枠が1つ増える)
利発な彼女はそこを読んで、行動しているのだろう。
「私は、農民を城へ連れて行った後、1体のゴルを追う。もし見つけたら、倒さずに知らせて欲しい。」
なぜ弱いゴルなど追っているのかわからないが、彼女も何か任務を負っているのかもしれない。
見かけたら知らせなければ。
チャダの情報によれば、もう一人、この地を救おうと立ち上がった者がいるという。

魔法使いのリファルドゥスという者らしい。
彼は、アンドールを離れたい農民を《灰色山脈》まで連れていくことを目的としているようだ。
(小4甥っ子君が使う魔法使いの宿命はそういうミッションだった)
その目的を達成した後は、アンドールを救うことに力を貸してくれるというのだ。
魔法・・・わたしは詳しくは知らない。
しかし貧弱な彼らは強大な力をもっていると聞く。
心強い仲間だ。
チャダからの手紙には私への助言も含まれていた。
「貴方には兜が必要だと思う。心置きなく踏み込めるから。」
早速店に行くことにした。
彼女がそう言うからではない。私は最初からまずは商店に行くべきだと思っていた。
そう。思っていたはずだ!

「邪魔をするぞ。今日は兜を買いに来た。」
そう言って金をカウンターに置いた。
ここでは全ての物が2金で買える。わかりやすい、良心的な店だ。
いつもの店の店主が私を迎える。
「ちょうど良いものが入っておりますよ。これは如何でしょう」
そういって店主は私に兜をかぶせた。

「よくお似合いです! この兜は、移動には何の役にも立ちませんが、戦闘の際には必ずや勇者様の力と────」
ん? “この兜は井戸には”と言ったのか?
────井戸だと!?
いや・・・・・・いかん。冷静になれ、ソーン。
明らかに聞き違いだ。
兜は井戸とは何の関係もない。
(兜があると戦闘判定でゾロ目の時、両方の出目を加えられる)
複雑な表情が出ていたのかもしれない。
怪訝な表情で私を見つめる店主に礼を言い、心を悟られぬよう、足早に店を出た。
井戸に心を奪われている場合ではないのだ。
早くルーン石を探し、盾ドワーフの元へ届けなければ。
この地のどこかに5つあるというルーン石。
3種類のルーン石全てを手にすると強大な力を得られるという。
(3種類のルーン石装備で、最大12が出る魔力ダイスを1つ振れるようになる。詳しくは伝説2後編へ)
しかし、今の私の任務はルーン石2つを届けること。
以前に集めたこともあるルーン石。勝手がわかっていたのか、幸運にもすぐにルーン石2つを見つけることができた。
しかしこの地に落ちているルーン石は5つ。私が2つ届けてしまうと、残りは3つ。
その残りの3つが、もし同種のルーン石だったならば、私たちは3種のルーン石の力を得られないことになる。
「勇者ソーン様とお見受けいたしますっ!」
手に入れたルーン石をどうすべきか悩んでいると、双眼鏡で霧を探っていた魔法使いから、使いが来た。

「私はすでに3種のルーン石のありかを見つけました。勇者ソーン様、貴方様の目的を気兼ねなく果たしてください」
(アイテム双眼鏡では装備キャラ周囲のマスにある裏向きトークンを表にできる)
これが魔法の力か! なんという絶妙なタイミングだ。
かなり腕の立つ魔法使いなのだろう。私が悩んでいることがわかっていたようだ。
ん?悩んでいること・・・ま、まさか井戸のことまで・・・
───ダメだ。戦士ソーン。自分の目的に集中しろ。
自らの頬を両手で叩き、悩みを振り切る。
この情報のおかげで、盾ドワーフの元へ安心してルーン石を届けられる。
そろそろ日も暮れてきた。
今持っているルーン石を届けていいこともわかったことだし、ここで野宿にしよう。
その夜、伝令が吉報をもたらした。
例の魔法使いと農民が、《灰色山脈》へと到着したとのことだった。

心強い。これで彼は城を守ることに集中できるだろう。
とはいえ、夜更けまで頑張っていたようだな。さすがだ。
それに比べて私は・・・
鬱々とした気分の中、いつの間にか私は眠りについていた。
夜が明けた。陰鬱な朝。
朝になると、魔物達が城へと近づいた知らせが入る。

凶悪で素早い魔物、ヴァルドラグがすさまじい勢いで城へ迫っているようだ。
このままでは城が危ない。次の日には何体かの魔物が城へと侵入してしまうだろう。
───行かなければ!
新しい剣も持たず、兜のみの私だが、このまま魔物たちが城へ迫るのを見てはいられない!
(商店で2金払えば攻撃力は1上昇。しかし兜を買ったので有り金なし)
その時、チャダから知らせが入った。
「私とリファルドゥスとで奴らの進行速度を計算した結果、私たちはヴァルドラグを倒すことになった。戦士ソーン、貴方の力が必要だ」
いつ魔法使いとチャダが打ち合わせをしたのかは知らないが、どうでもいい───どうでもいいことだ!
とにかく、私の力を必要としているのだ!
私も向かうことを伝令に告げ、ヴァルドラグが出没しているエリア9へ急いだ。
「戦士ソーン様!お待ちしておりました。はじめまして。私はリファルドゥス───詳しい自己紹介は後ほど、魔物はその奥───来ました!」
ヴァルドラグが私たち3人を威嚇しながら近づいてくる。
私は素早く剣を抜き、彼らを守るように前に出た。

チャダはすでに得意の位置へ移動し、狙いを定めているようだ。
魔法使いは、呪文の詠唱を始めている。
初めて会ったが、魔法使いはすでに私のことを充分知っているようだった。
さきほどの感じでは、私に嫌な印象を持ってはいないように見えた。
私がアンドールを救った話を知っているからだろうか。
それとも井戸の件で私を哀れんで・・・
───ソーン様、危ない!
ヴァルドラグの爪が目前に迫っていた。
反射的に動き剣でいなす。
魔法使いは何事もなかったように詠唱に戻ったが、声がなければ危なかった。
しっかりしなければ。
「よしっ!一斉に攻撃するぞ!タイミングを合わせろっ!」
魔法使いの持つルーン石が輝く。
彼の杖からは光線が、木の陰からはチャダの矢が、そして、私は身を低くし一気に近づき、ヴァルドラグの喉元に突きを入れる。

連携攻撃をあびたヴァルドラグはあっさりと地に伏した。
特に魔法使いの光線は強力だったようだ。
私も戦士の端くれ、致命傷がなんだったかぐらいわかる。
「やりましたね。戦士ソーン様、チャダ様。お二人のおかげです。」
穏やかな声で近づいてくる華奢な魔法使いは、本当にそう思っているようだった。
「ああ。君も居てくれて良かった。皆で力を合わせたからだな。」
そう言ったそばから心がざわつく。
リファルドゥスは、自己紹介や英雄である私やチャダと共に戦えることについて嬉しそうに話し続けているが、私はほとんど聞いていなかった。
私の心は沈んでいた。
兜があったからこそ何とか思い切った突きを放てたものの、兜がなければ彼らに比べて一番非力な攻撃だったのではないか。
(兜が無ければ出目は3で処理されてた)
兜があったところであの程度だ。
私の憂鬱を知ってか知らずか、チャダが言う。
「もうそろそろ夜もふけるわ。今日はここで野営にしましょう」
この日も憂鬱のまま、いつのまにか眠っていた。
「勇者の方々とお見受けいたしますっ! 急報です!」
早朝。憂鬱な朝霧とともに伝令は凶報を持ってきた。
「城敷地内に魔物が侵入!さらにエリア45の井戸が!」

私の顔が怒りに歪むのを感じた。
下腹からこみ上げてくる怒りが私を支配する。
「うおぉぉぉぉぉっ!」
虚空を見上げ、私は叫んだ。
また...またもや井戸を汚されたのだ!
許さぬ。
許さぬ。許さぬ。許さぬ。許さぬ。許さぬ。許さぬ。許さぬ・・・
魔物たちを許すわけにはいかない!
「さあ、復讐をはじめよう。」
──後編へ続く──
あれ。なんかキャラ変わっちゃかしらーソーン君!
なんて思ってますが、まあいいか。後編をお楽しみに〜
ボードゲーム「アンドールの伝説」伝説3リプレイ(一人称小説風)後編
アンドールの伝説記事一覧
ボードゲーム「アンドールの伝説」は、amazonや駿河屋に売ってまーす(本リプレイは旧版でしたが、改訂版が発売しています)
◆amazon:アンドールの伝説 改訂版 完全日本語版
◆駿河屋:ボードゲームアンドールの伝説 改訂版 完全日本語版 (Die Legenden von Andor)
アンドールの伝説には拡張も出ているのですよね。これも楽しみ

リンク載せておきます。
amazon:アンドールの伝説 拡張セット 星の盾 完全日本語版
ボードゲームアンドールの伝説 拡張 星の盾 完全日本語版 (Legends of Andor: Der Sternenschild)
「ははは。井戸水飲みながら恍惚としてたらしいしなぁ。英雄がきいてあきれるぜ」
・・・なんという・・・なんということなのだ。
私が、意思がみなぎる井戸水を愛していることは間違いない。
(戦士は井戸水を飲むと通常意志力+3のところ、+5)

だが、あの水がなければ私は──私、戦士ソーン──は、あの兵士たちが言うとおり何もできないのか・・・。
──違う。違うと言いたい。
今この場所から出て行き、私を陰であざ笑う兵士たちに一泡吹かせてやりたい。
しかし私は、堂々と「違う」と言えるだろうか。
これまでに私は、仲間と、そして井戸水...そう。井戸水のおかげで何度かアンドールを救ってきた。
あぁ井戸水。あの澄んだ水は、いつだって私に力を与えてくれた。
井戸水無しで、魔物に、困難に、そして女尊男卑に立ち向かった日があったろうか・・・。
たしかに、私は井戸水に頼りすぎていたのかもしれない。
そんな私に彼らの前に出て行く資格などない。
今しばらくは井戸水のことは考えない・・・そう。考えないことにしよう。
(というわけで、今日はアンドールの伝説3のリプレイ一人称小説風です〜。相変わらずイイ加減ブログですので諸々ご容赦を

そう私が決断した頃、アンドールにまたもや暗雲が立ち込めていた。

(伝説3開始時に、どこに敵が出るかなどのカードを5枚引く)
各地に様々な魔物が出没しているようなのだ。
やつらは日に日に、かつ確実に、城を目指してくるだろう。
城の現在の状況から考えて、3体の魔物が進入してしまえば、この城はあっというまに蹂躙されてしまうだろう。
出現した魔物は多数。このままではアンドールは確実に終焉をむかえてしまう。
(今回は3人プレイなので、城に3体目の魔物が進入すると負けになる)
城を蹂躙させるわけにはいかない。
仮に、私が井戸水がないと何もできない戦士だったとしても、私には城を守る責務があるのだ。
さらに私には1つの任務...いや、宿命ともいうべき任務があった。
(伝説3から、それぞれのキャラに任務が与えられます)

ハッルガルド侯爵には世話になったことががある。
だからこそ「彼らの鉱山までルーン石2つを運ぶ」という約束をたがえるわけにはいかないのだ。
こうやって物陰に隠れて兵士たちの噂の続きを聞いている場合ではない。
私が井戸水抜きでも立派な戦士であるかどうか、ここで試してやろう!
さあ、出立だ!
■仲間たち
私の元に、共にアンドールを救おうとする仲間からの知らせが入った。
以前、私と共にアンドールを救った狩人のチャダは、すでにアンドールを救うため動き出しているようだ。
農民を連れ、城に向かっているらしい。

城へ向かう途中、井戸に立ち寄ったとか。
あぁ...井戸か...いや。いかん。今は井戸のことは忘れよう。
農民の中には骨のあるやつもいる。
彼らは、城で兵士として活躍するかもしれない。
(農民が城に入ると、モンスター受け入れ枠が1つ増える)
利発な彼女はそこを読んで、行動しているのだろう。
「私は、農民を城へ連れて行った後、1体のゴルを追う。もし見つけたら、倒さずに知らせて欲しい。」
なぜ弱いゴルなど追っているのかわからないが、彼女も何か任務を負っているのかもしれない。
見かけたら知らせなければ。
チャダの情報によれば、もう一人、この地を救おうと立ち上がった者がいるという。

魔法使いのリファルドゥスという者らしい。
彼は、アンドールを離れたい農民を《灰色山脈》まで連れていくことを目的としているようだ。
(小4甥っ子君が使う魔法使いの宿命はそういうミッションだった)
その目的を達成した後は、アンドールを救うことに力を貸してくれるというのだ。
魔法・・・わたしは詳しくは知らない。
しかし貧弱な彼らは強大な力をもっていると聞く。
心強い仲間だ。
■装備を整える
チャダからの手紙には私への助言も含まれていた。
「貴方には兜が必要だと思う。心置きなく踏み込めるから。」
早速店に行くことにした。
彼女がそう言うからではない。私は最初からまずは商店に行くべきだと思っていた。
そう。思っていたはずだ!

「邪魔をするぞ。今日は兜を買いに来た。」
そう言って金をカウンターに置いた。
ここでは全ての物が2金で買える。わかりやすい、良心的な店だ。
いつもの店の店主が私を迎える。
「ちょうど良いものが入っておりますよ。これは如何でしょう」
そういって店主は私に兜をかぶせた。

「よくお似合いです! この兜は、移動には何の役にも立ちませんが、戦闘の際には必ずや勇者様の力と────」
ん? “この兜は井戸には”と言ったのか?
────井戸だと!?
いや・・・・・・いかん。冷静になれ、ソーン。
明らかに聞き違いだ。
兜は井戸とは何の関係もない。
(兜があると戦闘判定でゾロ目の時、両方の出目を加えられる)
複雑な表情が出ていたのかもしれない。
怪訝な表情で私を見つめる店主に礼を言い、心を悟られぬよう、足早に店を出た。
井戸に心を奪われている場合ではないのだ。
早くルーン石を探し、盾ドワーフの元へ届けなければ。
■ルーン石と魔法使い
この地のどこかに5つあるというルーン石。
3種類のルーン石全てを手にすると強大な力を得られるという。
(3種類のルーン石装備で、最大12が出る魔力ダイスを1つ振れるようになる。詳しくは伝説2後編へ)
しかし、今の私の任務はルーン石2つを届けること。
以前に集めたこともあるルーン石。勝手がわかっていたのか、幸運にもすぐにルーン石2つを見つけることができた。
しかしこの地に落ちているルーン石は5つ。私が2つ届けてしまうと、残りは3つ。
その残りの3つが、もし同種のルーン石だったならば、私たちは3種のルーン石の力を得られないことになる。
「勇者ソーン様とお見受けいたしますっ!」
手に入れたルーン石をどうすべきか悩んでいると、双眼鏡で霧を探っていた魔法使いから、使いが来た。

「私はすでに3種のルーン石のありかを見つけました。勇者ソーン様、貴方様の目的を気兼ねなく果たしてください」
(アイテム双眼鏡では装備キャラ周囲のマスにある裏向きトークンを表にできる)
これが魔法の力か! なんという絶妙なタイミングだ。
かなり腕の立つ魔法使いなのだろう。私が悩んでいることがわかっていたようだ。
ん?悩んでいること・・・ま、まさか井戸のことまで・・・
───ダメだ。戦士ソーン。自分の目的に集中しろ。
自らの頬を両手で叩き、悩みを振り切る。
この情報のおかげで、盾ドワーフの元へ安心してルーン石を届けられる。
そろそろ日も暮れてきた。
今持っているルーン石を届けていいこともわかったことだし、ここで野宿にしよう。
その夜、伝令が吉報をもたらした。
例の魔法使いと農民が、《灰色山脈》へと到着したとのことだった。

心強い。これで彼は城を守ることに集中できるだろう。
とはいえ、夜更けまで頑張っていたようだな。さすがだ。
それに比べて私は・・・
鬱々とした気分の中、いつの間にか私は眠りについていた。
■凶悪なる魔物へ!連携攻撃!
夜が明けた。陰鬱な朝。
朝になると、魔物達が城へと近づいた知らせが入る。

凶悪で素早い魔物、ヴァルドラグがすさまじい勢いで城へ迫っているようだ。
このままでは城が危ない。次の日には何体かの魔物が城へと侵入してしまうだろう。
───行かなければ!
新しい剣も持たず、兜のみの私だが、このまま魔物たちが城へ迫るのを見てはいられない!
(商店で2金払えば攻撃力は1上昇。しかし兜を買ったので有り金なし)
その時、チャダから知らせが入った。
「私とリファルドゥスとで奴らの進行速度を計算した結果、私たちはヴァルドラグを倒すことになった。戦士ソーン、貴方の力が必要だ」
いつ魔法使いとチャダが打ち合わせをしたのかは知らないが、どうでもいい───どうでもいいことだ!
とにかく、私の力を必要としているのだ!
私も向かうことを伝令に告げ、ヴァルドラグが出没しているエリア9へ急いだ。
「戦士ソーン様!お待ちしておりました。はじめまして。私はリファルドゥス───詳しい自己紹介は後ほど、魔物はその奥───来ました!」
ヴァルドラグが私たち3人を威嚇しながら近づいてくる。
私は素早く剣を抜き、彼らを守るように前に出た。

チャダはすでに得意の位置へ移動し、狙いを定めているようだ。
魔法使いは、呪文の詠唱を始めている。
初めて会ったが、魔法使いはすでに私のことを充分知っているようだった。
さきほどの感じでは、私に嫌な印象を持ってはいないように見えた。
私がアンドールを救った話を知っているからだろうか。
それとも井戸の件で私を哀れんで・・・
───ソーン様、危ない!
ヴァルドラグの爪が目前に迫っていた。
反射的に動き剣でいなす。
魔法使いは何事もなかったように詠唱に戻ったが、声がなければ危なかった。
しっかりしなければ。
「よしっ!一斉に攻撃するぞ!タイミングを合わせろっ!」
魔法使いの持つルーン石が輝く。
彼の杖からは光線が、木の陰からはチャダの矢が、そして、私は身を低くし一気に近づき、ヴァルドラグの喉元に突きを入れる。

連携攻撃をあびたヴァルドラグはあっさりと地に伏した。
特に魔法使いの光線は強力だったようだ。
私も戦士の端くれ、致命傷がなんだったかぐらいわかる。
「やりましたね。戦士ソーン様、チャダ様。お二人のおかげです。」
穏やかな声で近づいてくる華奢な魔法使いは、本当にそう思っているようだった。
「ああ。君も居てくれて良かった。皆で力を合わせたからだな。」
そう言ったそばから心がざわつく。
リファルドゥスは、自己紹介や英雄である私やチャダと共に戦えることについて嬉しそうに話し続けているが、私はほとんど聞いていなかった。
私の心は沈んでいた。
兜があったからこそ何とか思い切った突きを放てたものの、兜がなければ彼らに比べて一番非力な攻撃だったのではないか。
(兜が無ければ出目は3で処理されてた)
兜があったところであの程度だ。
私の憂鬱を知ってか知らずか、チャダが言う。
「もうそろそろ夜もふけるわ。今日はここで野営にしましょう」
この日も憂鬱のまま、いつのまにか眠っていた。
「勇者の方々とお見受けいたしますっ! 急報です!」
早朝。憂鬱な朝霧とともに伝令は凶報を持ってきた。
「城敷地内に魔物が侵入!さらにエリア45の井戸が!」

私の顔が怒りに歪むのを感じた。
下腹からこみ上げてくる怒りが私を支配する。
「うおぉぉぉぉぉっ!」
虚空を見上げ、私は叫んだ。
また...またもや井戸を汚されたのだ!
許さぬ。
許さぬ。許さぬ。許さぬ。許さぬ。許さぬ。許さぬ。許さぬ・・・
魔物たちを許すわけにはいかない!
「さあ、復讐をはじめよう。」
──後編へ続く──
小説風リプレイ後編紹介
あれ。なんかキャラ変わっちゃかしらーソーン君!
なんて思ってますが、まあいいか。後編をお楽しみに〜

ボードゲーム「アンドールの伝説」伝説3リプレイ(一人称小説風)後編
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販売情報
ボードゲーム「アンドールの伝説」は、amazonや駿河屋に売ってまーす(本リプレイは旧版でしたが、改訂版が発売しています)
◆amazon:アンドールの伝説 改訂版 完全日本語版
◆駿河屋:ボードゲームアンドールの伝説 改訂版 完全日本語版 (Die Legenden von Andor)
アンドールの伝説には拡張も出ているのですよね。これも楽しみ


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ボードゲームアンドールの伝説 拡張 星の盾 完全日本語版 (Legends of Andor: Der Sternenschild)
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クリア後に、貴ブログを、読み返すと、改めて貴ブログの面白さ、凄さに感銘を受けます。
伝説4、5もお待ちしてます(^^)
ついに伝説2,3一気にクリアですか〜!
おめでとうございます〜!
そしていつも嬉しいコメントありがとうです(≧∇≦)
励みにして頑張りまーす(^o^)/