■逃げゆく怪物


「報告します! 怪物たちが発見する宝石はどれも高価値なものばかりとのことです!」
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なんということだ…我らが見つける宝石は低い価値のものばかりだというのに。
天は我らの味方ではないのか。
(宝石の価値はランダムで配置されたのでたまたま)


「さらに抜け穴から外に出た怪物もいると聞いております!」


坑道から出て言ったやつらは、アンドールの地を荒らすだろう。
このまま放置しておけば、由々しき問題になるやもしれぬ。
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この坑道で宝石を集めているだけでは、愛するアンドールを守れないということか...
(怪物が坑道から脱出すると、物語トラックの最終マスのNが手前にズレてくる。タイムリミットが早まるってこと。怪物を倒しても物語コマが進むので、同じなんだが怪物を倒せば金貨が出るのでできれば金貨にしたい)


このままではいけない...奴らを倒さなければ。
大丈夫だ。井戸水を飲んだ私は、今何をすべきかが分かる。分かるのだっ!


(というわけで、今日はボードゲーム アンドールの伝説 伝説4の小説風リプレイの続き、ついに後編です。プレイに基づいていますが、多少私の脳内妄想が肉付けに利用されておりますのでご了承くださいませー。前2編のリンクはこちら→前編 中編)



■無双のソーン


私がやるべきこと。
怪物たちを倒すこと?


正しいともいえるが、まだ準備不足だ。
力が漲っていることは感じるが、装備が貧弱では怪物も、そうたやすくは倒せないだろう。


では装備を新しくするのか。
いや。我らは金貨を使ってはならない。なぜなら、ハッルガルド侯爵の元へ少しでも多くの金貨や宝石を運ばねばならないからだ。


ならばどうするのか。
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ここかっ!


3つ目のルーン石を拾うと、持っていた2種のルーン石も輝きだした。
3種のルーン石を見つけたことによって、魔法の力が働き始めたのだ。
「素晴らしい! この光こそ聖なる光だ!」


我が剣のさばきも、魔法の力を得て鋭くなったようだ。
これだ。
これを待っていたのだ。
(ランダムに配置されているルーン石を3種集めると攻撃時に振れるダイスが強力になる)


急ぎ、廃坑の出口、怪物たちが利用していると思われる出口に向かう。
「リファルドゥス! お前も来るか!?」


魔術師である彼の魔法の力があれば、さらに私の攻撃は鋭さを増すだろう!
彼は頷き、私に続いた。怪物が坑道を出る前に倒してやる。


「ははははは! どこに行こうと言うのかね!?」
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言うなり、スクラルを思いっきり斬りつけると、奴は一瞬にして地に伏した。
竜の尾は力を無くし、奴が持つ双剣も、何の役割も果たせずに転がった。


安堵するのも束の間、他の怪物たちが唸る声が坑道に響く。
「ふっ。まだまだ怪物たちがいるようだが、井戸の力とルーンの力を得た私の敵ではないっ!」


私とリファルドゥスは次々と怪物を倒し、怪物たちが持っていた金貨を手に入れた。


「かなり集まりましたね...パスコも少し金貨を集めていたようなので合わせれば侯爵の求めていた額になるかもしれません。」
集めた金貨を数えたリファルドゥスは、安心したように息を吐いた。
しかしすぐに真剣な顔となる。


「先ほどの揺れが気になります。坑道の入口まで順調に戻れると良いのですが。私は急ぎパスコと合流し、入口へと向かいます!」
(物語マスのイベントにより、地震が起き、つり橋を渡るのに意志力が必要になったり、入口への道を塞ぐ落石が起こったりしている)


「ああ。頼む。これで侯爵も喜ぶ――」


「―――危ないっ!」
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ゴゴゴウッ! 火炎旋風が私に迫る。
あと1エリア違っていたら、あの炎に巻き込まれていただろう。


「助かった。ありがとうリファルドゥス。君は急ぎパスコとともに入口へ向かってくれ! 俺はまだここに脅威がないか見回ってそちらへ向かう!」


リファルドゥスは危うい橋を渡り、たくさんの金貨を抱えて坑道の入口へと向かった。




■湖の調査


後で聞いた話だが、やはり地震のせいで、落石が起こっていたらしい。
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戻る道が塞がれていたことに落胆した二人だったが、すぐに気を取り直し、二人で落石への攻撃を続け、なんとか取り除いたとのことだった。


たくさんの井戸水を蓄える、この坑道だが、危険はたくさんあるということか。
時々遊びに来ようと思ったのに...


リファルドゥスとパスコが協力して落石を取り除いていた頃、私は...


私は、例の湖にいた。
どうしても、どうしても気になるのだ。まるで井戸のようなこの湖が。


気づくとバチャバチャと音がしていたのだ。
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...自分だった。自分が湖の中にいた。
どうしてこうも私は水が、いや、井戸水が気になってしまうのだろう。


正確には、ここは井戸ではないようなのだが、あきらめきれない。
しかもこの時、湖の底から液状の何かが持ち上がり交渉を持ちかけてきたのだ。
(湖に入ったら、湖用のイベントカードを捲る)


その深い声は、宝石を一つ差し出せば、アンドールを少し平和にするというものだった。
そのような力を持っているであろうに、私が文無しであることに気づかないとは。


私の全財産はリファルドゥスに預けていた。
そう。坑道の入口へと運ぶためだ。私は、宝石の一つどころか金貨1枚も持っていないのだ。


そのことを伝え、ふと頭をよぎったことを投げかけてみた。
「ここは井戸なのか!? あなたは井戸の精霊なのか!?」


気づくと、湖面は静かで、何者かの気配はなくなっていた。
どちらとも言えないが、ここは井戸ではないのかもしれない。
水を飲んでみても、力は漲ってこない。
ただのキラキラとした澄んだ水...というわけでもなさそうなのだが。


「そろそろ...行かなければな。パスコたちは無事に侯爵の元へたどり着いただろうか...」
私は、後ろ髪を引かれながら、湖を後にした。



■侯爵の元へ


「やった! やりましたね! パスコさん!」
魔術師リファルドゥスが今までに聞いたことがないような明るい声を出した。


この落石を取り除く作業が難儀だったことを示していた。
「あぁ...やったな。ソーンがいれば良かったんだが...あいつのことだ...怪物たちを倒しているか、井戸にでもつかまっているんだろう。」
パスコが、にやっと笑う。


「でしょうね。ソーンさんには助けられましたので、これでいいんですよ。まっすぐこちらに向かっていただいたとしても、ソーンさんは今日中に辿り着ける体力ではなかったですし。」
(時間トラックはそれぞれの行動によってバラバラに進むので、同じマスにキャラ同士がいたとしても、その日の残り時間トラックは別々だったりする)


「パスコさん、すいません。私もそろそろ限界のようです。今日はもう動けません...」
「大丈夫だリファルドゥス。俺はまだ動ける。」


そういって両手を出したパスコが、リファルドゥスから宝石や金貨を受け取る。
「よし! 待っていろ! お前たちばかりに負担をかけてもいられないからな!」
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パスコは仲間の一心な眼差しを背に受けながら走り出すのだった。



最初に風を感じた。
そして徐々に光が届いてくる。


かすかに太陽の、大地の匂いを感じた。
たった一人で走ってきたパスコだったが、日差しの温もりと共に感じたのは、仲間の想いだった。
まるで二人が一緒に走ってくれているようだった。


そして彼はついに、坑道を脱出した。
太陽のまぶしさに目を細める。
と同時に、彼らを待っていた侯爵、そして兵士たちの大歓声が聞こえてきた。


やったのだ。彼らは目的の宝石や金貨を集め、ついに侯爵の元へ運ぶことができた。
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目的の達成を喜びながらも、ソーンやリファルドゥスの身を案じる侯爵に、パスコは言った。


「大丈夫です。彼らは元気ですよ。少し無理をしてしまって、今日中に辿り着かなかっただけですよ。明日には元気な姿を見せてくれるはずです。」


その話を聞いた兵士たちが、再び歓声をあげる。
「では、彼らを待ちながら夜通しで宴会じゃな!」
自慢の髭を揺らして、侯爵の太い声が響くと同時に宴会の準備が始まるのだった。



■歓喜と暗雲


...やっと、出口が近いか。
パスコは無事に辿り着いているだろうか。


ん? この騒ぎは?


おお! おおおお! これは宴会か!
私は最後の力を振り絞って走り出した。


出口だ!
外に出てさわやかな空気を一気に吸う。まぶしいが心地よい。
アンドールは朝だ。枯れた井戸水が復活する朝だ。


そして、おそらく夜通し宴会をしていたであろう面々が、まだ元気に飲んでいた。
「おお! ソーンだ!」侯爵が私に気づき声を上げると、「ソーン様だ」「勇者ソーンだ」「無事だ!」などと兵士たちも口々に言い、皆が駆け寄ってくる。


「見事だったソーン。君たちのおかげだよ!」
侯爵と固く握手を交わす。侯爵や兵士の向こうには、パスコやリファルドゥスが疲れているが満面の笑顔で手を振っている。


「ソーン様!」「よくぞご無事で!」「新鮮な井戸水を用意してあります!」「勇者様!」
兵士たちも次々と声をかけてくれる。
もちろん、すぐに新鮮な井戸水をいただく。


私は、私たちはやったのだ!
空を見上げて歓喜の声をあげたくなったが、太陽に向かって、満足気に頷くだけにしておいた。
あとでゆっくりと長い時間をかけて仲間と喜びを分かち合おう。


見上げた空の一部に違和感を感じ、もう一度注意深く空を見た。
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――煙!?


西に煙が上がっていた。
あれは...あれは、城の方向ではないのか!?


強烈な落胆が襲った。
膝が崩れそうになる。


仲間や兵士たちが私の反応に気づき、西の空を見る。
「煙だ!」「城じゃないのか!?」「何が起こってるんだ!?」
兵士たちが混乱している。


そこに、満身創痍の伝令がやってきた。
「伝令! 怪物たちが城を蹂躙! 繰り返します! 怪物たちが我が城を蹂躙!」


なんということだ...城が...私たちは...どうすれば...。


迷いは一瞬だった。
先ほど飲んだ新鮮な井戸水のおかげだろう。力が、勇気が漲ってくる。


「城へ向かう! 心あるものは我がソーンへついて参れ!」
私は西へと走り出した。待ち受けるものが何なのかは知らない。
しかし、私は、仲間、そして井戸水があれば、比類なき力を得るのだ!!


アンドールよ。待っていろ!


――伝説4 小説風リプレイ 完――


以上です〜。いかがだったでしょうか〜。
初の3篇になってしまい、しかも連続ではアップできずスイマセン
まあ、そんなに待たれてないですよね。あははは。


最後は一部、一人称小説風ではなく、三人称になる部分もありましたが、変じゃなかったかしら。
あと、最後ソーンが湖で遊んでるのは、協力プレイをしなかったんじゃなくて、リファルドゥスとパスコの受け渡しでクリアできると踏んだので、時間トラックも進んでいたし、入口に向かうのをあきらめて湖に行ってただけですからね
「あっきぃらびっとって、物語優先して協力プレイしないんだ」なんて思わないでくださいねー

ボードゲーム アンドールの伝説は、amazonでも売ってまーす(執筆時点)。

アンドールの伝説 完全日本語版

あと、アークライトさんのアンドールの伝説公式ページには、新たなミニ拡張やストーリーなどが掲載されており、しかも充実の内容なのでビックリしました〜
リンク:アンドールの伝説 日本語版専用サイト


以上、あっきぃらびっとがお送りしましたっ! 私も元気ないとき、井戸水飲もうかしら